大阪の心療内科クリニック火災をめぐるきわめて個人的な雑感

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大阪の心療内科クリニックで起きた火災は、精神科医として働いている自分にとっても全く他人事とは思えなかった。東京で働く精神科医の友人がLINEで不安を訴えてきた。

 

私自身、全く不安じゃないと言えばウソになる。時々頼まれて雑居ビルのクリニックのバイトに行っていた時だったら、もっと不安になったかもしれない。ただ、こういう心配事のほとんどは自分の身に起こる可能性が極めて低い。ある程度の知識を持ち、対策をして、脳内シミュレーションをしておいたら、あとは運を天に任せるだけだ。

 

今働いている精神科病院は、その時いる場所にもよるだろうが、自分一人が逃げようと思えば、ほぼほぼ助かる。ただし、患者さんを助けようとすれば、ほぼほぼ助かる見込みはなくなる。精神科の外来クリニックと違って、足の悪い患者さんが山ほどいるし、数人の拘束患者さんの拘束帯を外すのに時間がかかるだろう。もう自分は助からないことを覚悟したとしても、何をどういう順番でこなしていけば、被害を最小に防げるだろうか。

 

そもそも、自分は今まである程度緊張感のある場面、例えば興奮して暴力的になっているガタイのいい患者さんと対峙するような時、「今日で自分の人生終わりか…」とちょっと脳裏によぎらせつつも、その場から逃げず、対応してきた。でも、火災が発生しても、自分はそのように利他的にいられるだろうか。今逃げれば自分は助かるという状況にありながら、現場に残り、消火活動をしたり、患者を背負って逃げたり、するだろうか。

 

…それは、その時になってみないと、わからないだろうな。

 

もしその時が来るのだとしたら、願わくば、両親ともに亡くなった後にしてほしい。猫のことは、私と出勤がかぶらず助かった同僚が、何とかしてくれる。

 

でも、こういうことは、誰にでも起こりうるよね。飛行機事故は件数は少ないが、起こってしまったら逃げ場がない。それでもキャビンアテンダントはいつもフライトに乗っている。電車通勤だってそうだ。新幹線内の犯行も増えてきた。でも実際は、自動車による事故のほうがずっと多い。

 

確実に言えるのは、誰もが何らかの事故に巻き込まれる可能性があるが、その可能性は決して高いわけではない。だから、いたずらに不安を募らせるより、知識を身につけたり、ある程度自分で防げる対策をしたら、あとは運を天に任せて、今死んでも、50年後に死んでも悔いがないように、ある程度は堅実に、でも時々は美味しいものを食べたり楽しいことをしたりして、思いっきり生きようと思う。不安になっている時間がもったいないからね!

 

今週のジャズ動画



ではまた。

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今日のおやつ

看護師さん手づくりの松ぼっくりチョコレートケーキ。超美味!