転倒する高齢者に気をつけたいこと

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火曜日の早朝、看護師からコールがあった。

「患者さんが転倒して頭を打ちました!」高齢者が多いこの病院では、これは日常茶飯事。

外傷の有無、意識レベル、バイタルサイン、神経症状等を確認し、特に異常がなくても念のために頭部CTを取るというのが通常の流れ。

 


でも、この患者さん、病名を確認すると心房細動とある。ということは…やはり、イグザレルト(抗凝固薬)を飲んでいた。その日の朝のイグザレルトは内服中止とし、主治医に後でその旨伝えた。

 


主治医はにっこり笑ってこう言った。

「あぁ、薬、戻しておきました。CTを確認して異常がなかったから」

 


ハァ!?

頭部CTなんて、頭蓋骨折はすぐにわかるけど、脳内出血は高齢者の場合ゆっくりじわじわ起こるんやし、早い時点で撮ったCTに異常がなかったからといって、脳内出血の可能性は否定できないやろ!だいたい、抗凝固薬をずっと飲んでる人は、むしろ出血傾向に傾いているんだから、2 、3日内服を止めていた位で飛ぶほどの血栓ができる事はまず無いやろ。2日くらいは抗凝固薬止めて、出血傾向がないか確認しろよ!

 


…なんてひどい言い方はせず、丁重にお話ししますとも。精神科病院の医者は、10年内科を経験してから来た先生もいれば、身体的な病気は全く診ないクリニック由来の先生もいる。患者さんが転倒して頭を打ったといっても、抗凝固薬を飲んでいるか確認しない先生もいるので、看護師に「この患者さん〇〇を飲んでいるんですが、どうしましょうか…?」とお伺いを立てることを勧めておいた。

 


皆さんのお身内に、抗凝固薬を飲んでらっしゃる高齢者がいて、転倒して頭を打った場合は、その日の抗凝固薬はまだ飲まないでもらって、かかりつけ医に相談をしましょう。意識清明に見える場合も、脳内でゆっくりじわじわと出血が広がって脳を圧排する場合があるので要注意です。

 


今日のピアノ




小指で連打するので、こういう曲はピアノを習ってない人間が弾くとボロが目立つ…

 


ではまた。

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