カタカナ語とタメ語の難しさ

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マルセイユの男・マルオとのやり取りを再開してから半年が過ぎた。マルオとは5年前に出会い、その後私はパリで2年過ごしたので、その頃会おうと思えばTGVという高速列車で3時間ほどの距離にいた。にもかかわらず、マルオも仕事で忙しくしていて、私も大学が超絶忙しかった。マルオのことをたぶん恋愛的な意味でも「好き」だとほのかに思ってはいたけれど、勉強と恋愛の両立など出来ない不器用な私は、同じフランスにいたにもかかわらず、ほとんどメールでのやり取りのみで、しかも書きたいことはたくさんあるけど実際は返事に3か月もかかってしまったりして、『いつも返事おそくてごめん』と謝ると、『大丈夫。たぶん僕のメールがつまらないのがいけない』などと思わせてしまっていた。こんなやりとりが続くわけもなかったね。本当に私は恋愛に向かない。

 

昨年の春、ひょんなことから連絡をとりあうようになったボルドー在住のボルドー氏。普通に結婚を意識している女性にとっては、なんの落ち度もなかった同い年の男性。でも、彼は毎日メッセージのやりとりをすることを望んでいて、それは私にとってはちょっと苦痛だった。メッセージのやりとり自体にもあまり楽しみを見いだせないでいた。いい人だから、いつか好きになるかも…なんて思っていたけど、無理だったなぁ。

 

そして、去年の私の誕生日にメッセージをくれてから、なんとなくやり取りを再開しているマルオ。マルオは私の誕生日を知っているのに、自分の誕生日は教えてくれない。FBもやっていないので、知りようがない。でも、私はそういうのは教えてもらっても忘れる人間だから、教えてくれないならくれないで楽でいいのだ。そう、マルオは、楽だった。私がなかなか連絡しなくても催促をしたりしない。そして最近日本語でやりとりをするようになってさらに楽さが加速した。

 

といっても、実は、外国人とのやりとりでは、日本語でやりとりをするほうが面倒と思うことが多く、こちらが外国語を使ったほうが楽だったりする。それは、相手の日本語習得レベルを考えると、どこまで漢字を使うか、仮名をふっておくか、など考えることが多いので、よけいに時間がかかったりするのだ。ところがマルオは漢字オタクなので、遠慮なく普通に漢字交じりの文章を仮名もふらずに書き送る。らくちんなのだ。

例えば亀について話すと、『亀っていう字がいいよね。特に旧字体のカメという字はかわいい』などと私も知らなかったことを言う。漢文学者の白川静さんの本を愛読しているとのこと。

そんなふうに、おそるべき進化をとげているマルオではあったが、カタカナ語には苦手意識を感じているらしい。カタカナ語は外来語でもあるから、西洋由来の外国語は、欧米人にはなじみがあって覚えやすそうに思えるが、微妙に違う日本語風の発音から出来ているカタカナ語は全くなじみのない日本語よりも却って難しいようだ。特に『メール』のように伸ばすのが難しいらしい。昔、韓国人もそんなこと言ってたな。ベートーベンは『ベトベン』、コーヒーは『コピ』と発音するかの国。そういえば確か『鼻血』の『コピ』とコーヒーの『コピ』という発音の微妙な違いを当時はちゃんと発音できてなかったのか、『鼻血ください』と言ってしまってたのは楽しい思い出。

 

カタカナ語も難しいのだけど、タメ語(非敬語?)もまた難しいと思う。マルオとフランス語でやり取りをしていた頃は、すぐに敬語を取って、タメ語のフランス語を使っていた。英語と違って、ヨーロッパ系の言語は敬語かそうでないかでだいぶ文法が変わってくるのできっちり覚えないといけないけど、覚えるべきことは決まっているので、そんなに苦ではない。

日本語は敬語をはずすや、関西人なんかはいきなり関西弁になる。日本語を学んでいる外国人相手にくだけた方言交じりの日本語は難しいのではないか…と思って、マルオとは日本語でのやりとりでは、敬語を使ってきたが、最近になってマルオが『敬語ナシでやりとりをしよう』と提案してきた。ついに来るときが来たか…敬語ナシだと、私はあまり『そうだよね』みたいな言い方はしない。でも『そやな』って書いてわかるかな?自分的に不自然だけど、やはり段階を踏んで、共通語からかな…

 

そんなふうに私が頭を悩ませているとき、マルオがビデオ通話を誘ってきた。超絶眠かったので断ると、『かまへんよ~』とひとこと。どこで覚えたのか、マルオ、恐ろしい子!お堅い漢文学からだけでなく、ゲームやマンガやドラマなど雑多なところから日本語の知識を取り入れてきているので、日本語の口語表現の煩雑さを、わずらわしいととらえず、楽しんでいるようだ。なので、こっちもあまり気にせず、自分の言葉を使おうと思った。たぶん語学が得意なんだろうな。うらやましいというか…、私もフランス語がんばろ。

 

最近は、『拙者』とか『すまん』とか言ってる。時代劇でも見ているのだろうか。

 

今日の動画



ではまた。

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