前回、「最後のおやつ」かもしれない患者Nさんの話をした。
Nさんの採血結果では、腎臓も肝臓も電解質もことごとく数値が悪く、どんなときでも食欲だけは旺盛だったNさんだったのに、食欲がない日が続いた。酸素濃度も低くモニターはしょっちゅう鳴り響き、せん妄様になったかと思うと、意識レベルが低下し、傾眠がちとなった。もともと持病もある84歳。そろそろだね…と、私を含め、医師も看護師も覚悟をした。
今週、A病院に勤務した時には、もうNさんはいないだろうと思っていた。
ところが、月曜の昼の2時、彼女は私の隣で塗り絵をしていた。
一体何が起こったか…
先週、「最後のおやつ」を看護師に託した。看護師は、食欲のないNさんが比較的意識レベルがはっきりしている時に、プリンを口に含ませた。すると、彼女は「おいしい!」と喜んだ。
ここまでは、今まで先に逝かれた患者さんと同じ。今までの患者さん達は、亡くなる前に美味しいものを口にすると、その後まるで「もう何も思い残すことはない」という穏やかな顔になって旅立っていった。
ところが、Nさんは、プリンを平らげると、「もっとない?」と他のおやつも要求し、そして、信じられないことだが、復活した。Nさんの場合は、おいしいものが、彼女をもっとこっちの世界にいたい、と彼女を生かしたのだろう。
コンビニデザート、ある意味薬よりも最強!
今日のてげてげ動画
「苦痛を取り除く精神療法」ではなく「苦痛と共に生きる精神療法」。意外とイイよ!
— 肉q (@Nickq1121) 2021年12月10日
【ACT】傷ついた心を癒さない精神療法⁉︎ https://t.co/zyKBTgqMyJ @YouTubeより
ではまた。