月曜の日勤の時のこと。
認知症で徘徊をするじいちゃん患者さんを、看護師がやや苛立ち気味に「もう、転ぶんだからあんまりウロウロしないで!」と椅子のほうに戻そうとしていた。
この看護師の名誉のために言っておくと、いつもこういう言い方をする人ではなく、ただ看護師はあまりに忙しすぎるし、患者さんが転ぶと看護師がインシデントという報告書を書かされるという大変さもあって、なかなかじっとしてられない、しかも転倒リスクの高い人がうろちょろしていると時々看護師は余裕をなくすのである。看護師の問題というよりはシステムの問題だね…
じいちゃんがウロウロするのには理由がある。
「何か探してるんですか?」と尋ねると、普段あまり言葉の出てこないじいちゃんが一言こうつぶやいた。
「仏さん…」
そうか、もうすぐお盆だもんな。
私はじいちゃんを窓辺に連れて行き、
「仏さん、あの空から来てくれるよ」とテキトーなこと言って、ポケットに入っていた、以前他の患者さんからもらった折り鶴を、「仏さんの乗り物」と言って手渡したら、じいちゃんは折り鶴を手に、椅子に座ってぼんやりと空を眺めていた。
今日のピアノ
ではまた。