通常ゴッドハンドと言うと、心臓外科医あるいは脳外科医…どっちみち外科医だ。どう間違えても精神科医につける言葉ではない。しかしあえて言おう。私はゴッドハンド肉qである。
施術中に私のPHSが鳴る。
もちろん施術中なので、看護師に代わりにPHSに出てもらう。
「重要な施術中だから後で折り返すと伝えて!」と看護師に伝える。
さて、ゴッドハンド肉qの重要な施術とは何だったか?
患者さんの背中かきである。
隔離拘束診でみた、ある男性患者さん。
激しい憎悪で目がギラギラ。
食事も薬も一切拒否しているので、鼻からチューブが入っている。
四肢拘束に肩拘束でガチガチに固められている。なんでそこまでやるのか聞いてみると、四肢だけにすると、上手く動いてチューブを外してしまう。以前、素早く点滴を抜いて、スタッフに針を向けるということがあった。とにかく危険なのだと言う。
しかし彼はその処遇のまま長い日数が経っていた。動くと拘束帯で体がこすれ、その刺激で皮膚がカサカサになり痒みが起こっていたようで、背中をしきりに布団に擦りつけかゆみに耐えていた。
これ、いつまでやるのかな?
主治医はこの先どうするつもりでいるのかな?
こう看護師に尋ねても、看護師も自分たちもどうすればいいかわからない、とのこと。
かゆみに対して保湿剤を塗っているけど、絶えず皮膚がこすれている状態だからなかなか治らない。
痒そうにしているので、わたしが病衣の上から、どれここか? ここがええのんか?と掻き始めたら、看護師に驚かれてしまった。
その眼光鋭く、まるで軽く10人ぐらい殺してきましたと言った表情の険しい男性患者は、やがて、私のゴッドハンドによってとろけるような表情にかわり、しまいにうとうとしてしまった。
途中で目覚め、「終わった…?」と聞くので、「何が?」と尋ねると、「マツタケ…」と言ってまたむにゃむにゃと夢の世界に戻っていった。
そこからこの男性、見違えるほど柔らかいおじちゃんに変わったため、車椅子でデイルームに出られるらしい。
以前も不信感でバリバリになっていた統合失調症の女性患者さんの脚のむくみを取ろうとして足のマッサージをしてあげた途端に妄想が取れたということがあった。
どうして私がゴッドハンドかって?
家に帰ると延々と3匹のお猫様のマッサージのご奉仕をするのが仕事だからだよ。
家に帰って、ソファーに座るや否や、1匹2匹膝に乗って、さぁ搔けとばかりに体を投げ出してくるので、私はkindle片手に読書しながら延々と奉仕をするのだ。そりゃ上手くなるよな。
もういっそ、精神科医やめてマッサージ屋さんになろうかな。客は猫限定で。
と言うわけで、今日の動画は統合失調症についてです。動画の内容と全く関係なく猫が可愛らしいので見てね。
ではまた。